お向かいは、お漬物屋さんで、斜めはす向かいは、お魚屋さん。左どなりはお肉屋さんで、右は、おっちゃんちの時計屋さん。
お漬物屋さんの、おじいちゃんは早起きで、4時には、店の前に水をまく。
お肉屋さんのおっちゃんと、父は、馬があうらしく、何かと店先で、難しそうに話し込む。
京都の夏は、蒸し暑く、私は、自分の部屋で、クーラー、ガンガン、レーコーとたばこ、FMラジオ。
大きなヘッドフォンで、商店街のアナウンスを消す。
暮れていく、夕暮れ。パートのおばちゃんたちも家路に就く頃、ぐでんと、店へ。
「おおきに、280円です」
「おつかいもんですね。少々おまちください」おじいちゃんを呼ぶ。
「せやったら、おつかいもんは、こっちのほうが」言うてるけど、心、こもってへんし。
・・・。
店先は、嫌い。暑いし、だるい。
となりの、おっちゃんたちは、夏祭り、お化け屋敷の準備に余念がない。
中間テストは、夏祭りの大売り出しの時期。
お化け屋敷を目的の、いとこたち。押しかけている。
階段下から、声がかかる。
『うち、行かへん。明日、テストやし』
毎年、同じ、会話、やし。
『ラーメン、食べに、百万遍、行くけど、どおする?』
『行かへん』
声をはり、勉強なんて、してないけど、行かへんって、決めている。
暑さに、ふいに、思い出し、
懐かし、なぁ。